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会社の成長とともに物流管理も進化
「いつ・どこに・何が」が
ひと目でわかる管理システム

東京フード様 東京フード様

筑波山の麓に本社工場を構える東京フード株式会社は、1967年の創業以来、菓子製造業を営み続け、チョコレートを中心とした製菓材料を製造・販売している。月島食品工業から食用加工油脂の技術を譲り受けた歴史があり、長年培ってきた製造ノウハウと同技術を掛け合わせた商品開発が得意。依頼開発はもちろん、社内のマーケティング機能を駆使した新製品開発も積極的に行う。誰もが食べたことのある身近なチョコレート製品や、昨今のトレンドである「頑張る自分へのご褒美食品」として人気の商品など、幅広く展開している。

工場のIT化を進め、見事、抜本的な構造改革を成功させた東京フード株式会社。生産効率が飛躍的に高まり、年商も以前の2倍以上を実現した。そうなれば当然、製造を支える周辺環境の仕組みについても変化を余儀なくされる。
当時、自社倉庫や外部倉庫を駆使し、増加した物量を感覚管理(Excelベース)していたという同社。しかし、大きな成長目標を掲げている同社は、IT化のメリットや重要性をいち早く理解していたため、速やかにシステム化に踏み切った。こちらでは、工場とは別のフィールドで進められた管理システム改革について詳らかにするとともに、同社のシステム管理室の働きや目指すところについて紹介する。

システム導入前の物流

システム導入前の物流

大 岩

工場の進化(別頁「IT化を推進して年商2倍以上を達成!『工場の在り方』の改革に成功したチョコレート工場」参照)に伴い、社内の物流管理も変化を求められました。物流管理のシステム化についてはお二人がメインで進められていましたが、当時の状況について、改めてお伺いしてもよろしいでしょうか?

藤田様

ご存知の通り、うちの会社は多品種小ロット製造で勝負しているため、品目点数が多いですし、ロット数の幅もかなりあります。しかも、直前の要望変更も結構多いので、物流まわりを円滑に機能させるためには、リアルタイムで状況を把握し、随時柔軟な判断を下す必要があります。
システム導入前の物流

和田様

急な変更への対応はイレギュラー要素が強いため、どうしても人に頼らざるを得ないですね。前もって数量200ケースで注文を受けていたのを、突然250にしたいなんてことはしょっちゅうです。その変更があるたびに、手書きで帳簿の数値を書き換えたり、変更事項について電話で関係各所に伝えたりしていたので、それだけでかなりのマンパワーが消費されていました。

大 岩

リアルタイムで情報を可視化し、その情報をシームレスに伝達できる仕組みが必要だったと。

和田様

ええ、それが一番の課題でしたから。製品の倉庫間移動や、お客様への出荷手配をしているのは物流管理部という部署なのですが、情報共有の方法はとてもアナログで、電話やFAXを使って伝言ゲームを行っているのと同じ状況でした。以前の物量でしたらそれでもなんとかなっていたのですが、工場のシステム化によって大幅に物量がアップした結果、「もうそろそろ限界だ」という声が上がるようになりました。

大 岩

こちらのシステムの基本設計は和田さんがしてくださいましたよね。根底にはどのような設計思想があったのですか?

和田様

一番は、外部倉庫の管理ですね。自社倉庫だけでは賄いきれなくなってきた物量を、アウトソーシングした倉庫を活用して管理していたのですが、当時は、恥ずかしながらこの管理の仕方がかなり大雑把で。なんといっても、倉庫ごとの在庫を数字で把握できない仕組みでしたから。「おそらくあの倉庫には、あの製品があのくらい保管されているはず」というように感覚値で把握し、最終的には「総数○○」で管理していました。そのような状態だったので、当然、製品の倉庫間移動や出荷作業もうまくいきません。このような状況をふまえ、どのようなシステムならば上手くいくかなと考えた結果、倉庫で管理されているモノをリアルタイムで把握、そのモノを正しく移動させるための指示を飛ばせるシステムが良いのでは、という発想が浮かびました。
システム導入前の物流 システム導入前の物流

藤田様

物流管理部の目線でいえば、今までは、「自社で所有している倉庫ひとつにすべての製品が保管されている」と考えるだけで済んでいたが、増え続ける物量に対応するため、倉庫をアウトソーシングすることになり、外部倉庫も利用することになった。そのとき保管されているモノの状態や数量については、管理者の目算に頼りながらおおよそで管理していた。このような状態でした。でもそれも無理もないことです。自社所有の倉庫ひとつだけを管理していれば良かったのが、急に管理対象となる倉庫が7つになってしまったんですから。会社の急激な成長に対して、管理体制そのものが追い付いていなかったのです。

和田様

その状態を一日も早くなんとかしたいと思っていました。また、新たに発生した問題として、倉庫間を行き来する配送トラックの配送ルートも悩みの種でしたので、そこも解決できたらなと。弊社の場合、多品種を取り扱っているため注文内容も多岐に渡ります。当然、配送ルートも統一できません。効率よく倉庫間を行き来し、必要業務をスムーズに行えるルートを都度考える必要があるのですが、それも運転手の感覚に任せていたため、どこかで非効率が発生しているはずだと睨んでいまして。最適な配送ルートを都度算出し、運転手に伝える仕組みも整えたいと考えていました。

大 岩

そうですね。当時、物流管理部が抱えていた問題は大きくまとめて4点でした。
1.工場の生産効率アップに伴い、物流量も増加したが、それに対応する仕組みが未整備だった
2.管理対象が倉庫ひとつだった時代に採用していたアナログな人的管理方法を、倉庫が増えても同じように採用し続けていた
3.どの倉庫に何がどのくらいあるかを把握できておらず、「すべての在庫が本社倉庫にあるもの」として数値管理していた
4.倉庫が増えたことにより、倉庫間を行き来する配送トラックの配送ルートを最適化する必要があった

システム導入後の変化

藤田様

改めて当時を振り返ってみると、担当者は、この環境の中、よく頑張ってくれていたなと思いますね。

和田様

始まった直後ぐらいだったから、なんとかマンパワーで耐えたという感じですね。

大 岩

システムの設計はほぼ和田さんがされていたので、私は主にプログラム担当としてお手伝いさせて頂きました。設計時点では、特にどのような点を重視しましたか?

和田様

一番気を配った点は、システムの使い手である物流管理部門の人間にとっての使い勝手です。システムを使うたびに一苦労、では話になりませんから、できるだけ簡単に、分かりやすく、ミスなく使えるようなシステムを目指しました。

藤田様

かなり打合せしていたように記憶しています。

和田様

週一回のペースで打合せしていましたね。レビューしながら、この画面はこのような見え方になるだとか、このように操作するだとか、頻繁にやりとりして理解を深めてもらいました。そんなやりとりを3ヶ月くらいは続けたと思います。
インタビューの様子

大 岩

和田さんがユーザーインターフェースにこだわって設計されていることについては重々承知していたので、是が非でも期待に応えねばと必死でした。中でも特に苦心したのが、元々運用されていた配車・出荷システムから、既存データを引き継ぎつつ、新機能を搭載することでした。そのシステムでは、配車~出荷までの大きな流れを管理していたのですが、その流れの中に新しい区分を設け、リアルタイムで何がどこにあるかを把握できるようにしたかったのです。既存データを引き継ぐことが前提だったので、難易度がぐんと上がっていました。

和田様

弊社の場合、配送状態の製品は4つの「区分」で表すのが適当だと考えたのです。「出荷」「受け取り(外部倉庫から東京フードへ移動させること)」「引き渡し(東京フードから外部倉庫に移動させること)」「横持ち(外部倉庫から外部倉庫へ移動させること)」の4つの「区分」が、弊社の倉庫間物流上、最もリアルタイムで把握したいことでした。

大 岩

新たな区分を追加することで発生する弊害を除去する作業に苦戦しましたが、無事、4つの区分データを一画面上で見せつつ、倉庫側に指示を出せるシステムに仕上がりました。

和田様

さらに、配送トラックのルート設定もできるようお願いしましたしね。

大 岩

トラックが外部倉庫で作業する際、極力タイムロスが出ないようにしたいと考えました。目指したのは、トラックが倉庫に到着する前に、製品を渡す・受け取る準備をしてもらえるよう、事前連絡(指示出し)を発信できるシステムの構築です。結果的に、目指した通りの仕組みが実装され、配送担当者自身でタイムロスの出ない配送ルートを決定できるようになりましたし、外部倉庫側も、配送担当者がスムーズに作業できるよう事前準備を整えることができるようになりました。

和田様

1番のポイントは、本社・外部倉庫から「引き渡す」情報と、本社・外部倉庫へ「持ち出す」情報を一画面上で展開し、必要な指示を発信するところまでを実現したことですね。

大 岩

多分、そのためのデータ作成が一番大変だったと思います(笑)。

和田様

お陰様でオペレーションは確実に改善しましたよ。1日の作業時間でいうと、以前は80件あった案件を4人で20件ずつ分担し、1日かけてギリギリ回していました。それが、システム導入後は2人でもさばけるようになりましたし、仮に4人で同じ量を分担した場合、以前よりもゆとりが生まれて他の作業にも着手できるようになりました。

藤田様

働き方改革を順調に推進できたと思っています。弊社では積極的に働き方改革に取り組んでおりますので、物流管理部に関わらず、システム化によって作業量や作業時間を短縮させる取り組みは今後も継続したいですね。他の部署からも、残業代を減らしたい、人数を減らしたいなど積極的にリクエストを受けていますので、全社的に波及させていきたいと考えています。

JCCの強みは、『顧客のやりたいことに対して全力で応えようとする姿勢』

大 岩

さきほど働き方改革の話題が出ましたが、今お二人は、システム管理室としてどのようなビジョンをお持ちでしょうか?

藤田様

流行に乗るわけではないのですが、システムの自動化・AI化に可能性を感じています。システムが自己学習によって何らかの判断を下し、自動的に最適な選択をしてくれれば、今以上に効率化を進めることができます。例えば、マニュアルとは著しく異なる操作や資材投入量を検知する仕組みとかね。そのあたりのノウハウを提供いただければありがたいと思っています。

大 岩

最新技術の習得はシステム業界全体で最重要課題になっていますので、私としてもぜひ身に着けたいと考えています。こうして目の前のお客様が求めていらっしゃるのであれば、それだけで十分な理由になります。
JCCの強み

和田様

私は、JCCさんが弊社にとって信頼できるパートナーであるという事実に頼もしさを感じていますので、長い目でお付き合いを継続させていただければと思っています。2005年に初めてシステムを立ち上げてから、その間、弊社の変化に合わせて絶えずシステムのアップデートに尽力くださいまして、そのおかげで今も差し支えなく利用できています。今後も弊社は大なり小なり変化し続けていくでしょう。それに対して今まで通り、積極的に寄り添って頂ければ嬉しく思います。工場の生産管理は抜本的な構造改革に繋がりましたが、今後は、今回の外部倉庫管理システムなど生産管理とは違うフィールドでご活躍いただきたい場面も増えてく思います。私としては、そう遠くない将来、原料メーカーとの取引システムの構築などがテーマになってくると考えています。それについても、相談させて頂きますので、力になっていただければと思います。

大 岩

お二人のお考えをお伺いし、弊社に対して大きく期待を寄せて頂いていることが改めて分かり、身が引き締まる思いです。今後は全社のシステム化、最新技術を搭載したシステムご提案に力を入れ、御社の働き方改革を強力にサポートできる存在でありたいと感じました。一層努力して参りますので何卒よろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間を頂きまして、誠にありがとうございました。