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東京フード 生産本部 生産管理部 課長

IT化を推進して年商2倍以上を達成!
『工場の在り方』の改革に成功した
チョコレート工場

筑波山の麓に本社工場を構える東京フード株式会社は、1967年の創業以来、菓子製造業を営み続け、チョコレートを中心とした製菓材料を製造・販売している。月島食品工業から食用加工油脂の技術を譲り受けた歴史があり、長年培ってきた製造ノウハウと同技術を掛け合わせた商品開発が得意。依頼開発はもちろん、社内のマーケティング機能を駆使した新製品開発も積極的に行う。誰もが食べたことのある身近なチョコレート製品や、昨今のトレンドである「頑張る自分へのご褒美食品」として人気の商品など、幅広く展開している。

日本の多くの工場が直面している、技術の属人化現象が引き起こす不良品の増加、紙ベース・人力ベースの管理体制の限界。15年前の同社も同じ問題に悩まされていた。しかし、トレンドが激しく移り変わるチョコレート市場において、依頼主の要求に対して「応えられない」では済まされない。今回の事例では、将来を見つめ、工場の在り方そのものを改革した同社の、システム化に対する真摯な姿勢や取り組み、その結果得た成果について紹介する。

JCCソフト 本社システム部門 システム・ソリューション事業部 マネージャ

システム導入前の工場

システム導入前の状況
氏名

中根様

15年前の現場では、既にオフィスコンピュータが導入されており、原料の配合率や生産予定などもオフコン上で管理していました。管理対象となる情報はかなりシンプルでしたけどね。仕込み伝票のデジタル化といえばわかりやすいでしょうか。この原料は何キロ、あの原料は何キロ必要であるというような、仕込み量を提示してくれるものでした。

大 岩

提示されるのはレシピだけですか。最終的な品質はすべて作り手に委ねられますね。

中根様

その通りです。例えばある作業において、Aさんはお砂糖から入れるけれど、Bさんは全粉乳から入れるというふうに、作業者の経験測と勘によって作業手順が決定されていました。チョコレートの品質管理は非常に繊細なので、本来であれば工場全体で統制すべきです。混ぜ方ひとつでも出来上がりが変わる世界なのに、その個人差も是正できていなかったのですね。多くの工程で技術の属人化が起こっていたため、出来上がったチョコレートの生地が安定しないことも度々ありました。

大 岩

その問題が特に顕著だったのはどの工程ですか?

中根様

『混合』段階ですね。チョコレートの品質を左右するのが滑らかな舌触りなのですが、それを高度に実現するためには、『微粒化』(微細化)といわれる工程をいかに成功させるかがポイントです。『微粒化』は、生地をロールにかけ、お砂糖などのざらつきを舌の先で感じさせないレベルまでに粒度を整える工程なのですが、その工程を滞りなく進めるためには、直前の『混合』の段階で、お砂糖・カカオマス・ミルク・ココアバターなどを、一定の基準で均質に混ぜ合わせることが必須となります。
チョコレートができるまでの工程

大 岩

作業者によって混ぜ方が違うのであれば、生地の固さも安定しませんよね。

中根様

そうですね。だからこそ、生地の品質を安定化するために、配合比率や配合方法を統一しようという声が現場で挙がっていました。そもそも作業手順書はあったんですよ。ただ、ベテランであればあるほど、口伝や経験によって培った独自ノウハウを使いたがるので、統一化を進められていなかったのが実情です。手順書は一応あるけれど、活かされていたとは言えない状況でした。

大 岩

作業手順書は紙でしたね。

中根様

紙です。紙だと、内容が変更になった時の更新作業も手間ですよね。それも、活用されにくい原因のひとつでした。

大 岩

ペーパーレス化については、多くの工場が同じ悩みを抱えているようにお見受けします。あと、在庫管理にも課題をお持ちでしたね。

中根様

そうそう。月末の棚卸作業が憂鬱で…。

大 岩

棚卸の際に、在庫が合わないと。

中根様

例えば、ある工程でお砂糖を使うとして、1回に110kg必要だとしますよね。原料のお砂糖は1袋あたり25kgなので、4袋を開けたあと、端数の10kg分を調達しなければなりません。このとき、すでに開いている袋から端数分を調達すれば良いのですが、なぜか新しい袋をどんどん開けてしまうんですよ。使い切れなかった袋については、帳簿上では「ない」とされていました。当然、古い袋がどんどんあとから見つかりますよね。それらの袋は、本当は工場内には「ある」ものの、それを把握しないまま月末を迎えてしまっていたので、最終的に、帳尻合わせに奮闘するはめになる…という事態が毎月展開されていました。

大 岩

怖いですね。特殊原料でそれが起こったら、取り返しのつかないことになるのでは?

中根様

そうですね。お砂糖なんかは主原料で使っているので、多少、帳簿上で在庫にズレが生じてもある程度はカバーできます。対して特殊原料は、特定の商品にしか使わない原料。帳簿上では「ある」のに、実際は「ない」ことが発覚した場合、その時点から調達していたら納期に間に合わないなんてことにもなりかねません。
在庫が合わなくなる原因

大 岩

そのような意味でも、リアルタイムで在庫管理ができるようになることは必須でした。それにより、トレーサビリティの精度も改善しますしね。

中根様

重要ポイントですね。リアルタイムで材料がないと作れないのに、昔はすべて紙ベースで管理していましたから、どうしても完全なリアルタイム管理にはならない。作業者自身が、使った原料分を手書きで記入し、それを事務所に提出して、事務所の担当者が数字をオフコンに打ち込んだあとに、使った分だけ在庫から引き落とす。このような流れで管理していました。

大 岩

その過程でも色々なミスが起こっていそうですよね。

中根様

その通りです。例えば、「8」と書いたはずなのに、判読者は「6」と判断し、そのまま「6」と記入してしまうなど、日常茶飯事でしたよ。手書き管理ゆえのヒューマンエラー、それが最も大きなトラブルのもとだったのです。

大 岩

まとめると、当時、工場が抱えていた課題は大きく3点です。
1.製造工程の一部(混合・微粒化)で、経験と勘による属人的な作業が発生し、品質管理または生産管理上の悪影響が出ていた
2.リアル在庫を把握する仕組みが存在しなかったため、必要な原料が手元に存在しないリスクを常に抱えていた。また、月末の棚卸時に数値が合わず、その分労働が長時間化していた
3.ヒューマンエラーが日常的に発生してしまう管理体制

中根様

この状況を打開するためには、工場のシステム化に踏み切るしかないと考えたわけです。私たちは大手企業様とは異なり、多品種小ロットの製品を製造することで勝負してきました。その分、仕様に対して細かな要求が出るのは目に見えていたので、私たちの細かなリクエストにも応えていただけるシステム会社さんを探していました。色々なシステムを見学し、比較検討した結果、わが社と同じ課題を抱えていたある企業が導入されていたシステムに目が留まりました。そのご縁で、JCCソフトさんにご担当頂くことになったのです。

システム導入後、
改善された工場の環境

インタビューの様子

大 岩

今回のシステムの最大のポイントは、全ての資材にバーコードを貼り、原料に関する情報はひとつ残らず一元管理できる仕組みを構築したところです。それにより、いつ・どこで・どこから仕入れた原料で問題が発生したのかがわかるようになりました。

中根様

原料の「状態」をリアルタイムで把握できるようになったのが大きいですね。どの工程の、どの機械の中に、どんな材料があるのかわかれば、現在の作業進捗が見えますから。

大 岩

シンプルに言えば、「モノを動かしたときには必ずシステム動作が起こる状態」を目指してシステムを組み上げました。また、個人の経験則や勘だよりだった数値基準については、適正値を算出し、誰もが等しい品質で製造できるよう仕組みを整えました。

中根様

実は導入当初、工場内の全ての原料にバーコードを貼るという作業に不満の声を上げる作業員も多かったのです。紙ベースで、複数の担当者が介在せざるを得ない状況で在庫を管理する習慣はやめなさい、すべてシステムで行うようにと厳命しました。それでも、やはり最初は守れない人も多く、「面倒だ」「これをやってどのような意味があるのか」と反抗されることもしばしばでした。

大 岩

御社の場合、システム化について、全社を挙げて強力に推進する姿勢を見せられたことが成功に繋がったのでしょうか?

中根様

それもありますが、最も大きな理由としては、真面目に言いつけを守っている人とそうでない人で、生産性に明確な差が出ているという事実に直面し、しぶしぶながらもシステム化の効果を認めざるを得なかったからだと思います。真面目にシステムを活用している人は、以前と比べてミスが少なくなった。一方、自分のやり方に固執し続けている人は、相変わらずミスをする。実際にその失敗例を引用して説得を続けたら、次第にこちらの言わんとすることを理解してくれるようになりました。
原料にバーコードを貼る

大 岩

後者の方は、やはりベテラン社員に多かったですか?

中根様

ええ。ただ、最近入社してくる社員は若いですし、デジタルネイティブ世代ということで、未体験のITシステムに対しても、比較的すんなり受け入れてくれるような印象を持っています。実際、使いこなせるようになるのも早いですしね。

大 岩

現場の稼働率についてはいかがですか?

中根様

以前と比較すると、不良品の数が明らかに減りました。同じ時間をかけて作っても、高品質の製品をより安定的に製造できるようになったため、生産性が格段に上がりましたよ。一日の生産量で比較すると、当時は50tでもかなり多かったほうなのですが、今は平均70~75tは達成できています。

大 岩

時間換算すると、大体どのくらい作業時間を短縮できるようになりましたか?

中根様

あくまでも感覚ですが、製品ひとつあたりの製造時間でいうと、10~15分は短縮できていると思うなあ。

大 岩

改めてお伺いすると、やはりすごい数字ですね。

中根様

なんだかんだで一番ありがたいのは、システムで作業工程を管理しているという事実が、作業者の安心材料になっている点だと思いますね。

大 岩

と言いますと?

中根様

作業者視点だと、「システムが安定稼働していれば、作業者の手によるヒューマンエラーは起こらない」と信じて業務に集中することができるため、安心して作業に臨めるのです。要は、「自分のせいで不良品が発生するかも」「自分のスキルが足りないせいで工場に迷惑をかけるかも」というような、余計なプレッシャーを感じずに済む環境のため、のびのびと作業できているということですね。

大 岩

なるほど!システムが、作業者の方の心の拠り所になっているということですね。それは非常に嬉しいです。

中根様

あとは、具体的な件数までは出せていませんが、クライアントからのクレーム件数が減ったというのも大きいです。考えてみれば当たり前なのですが。

大 岩

単純に品質が上がったことで、クレーム件数が減ったと。

中根様

もちろんそれもあります。他には、実際に工場見学をされたクライアントから、わが社のシステム体制について、「ここまで徹底しているんですね」とお褒めの言葉をいただくことも多いため、その影響も多少はあると思いますね。

大 岩

大変嬉しいお知らせ、ありがとうございます。早速社内で共有させていただきます!

JCCの強みは
『要求の本質を捉える力』と『期限厳守』

中根様

当初はシステムに関して全くの素人でしたので、知識が無い人間のみで構成されたチームが立ち上げられ、システム構築プロジェクトがスタートしました。

大 岩

大規模かつ繊細なご要望を数多くお持ちであるとお伺いしておりましたので、御社のご担当者様お一人に対して、弊社の担当者も最低一人は就かせていただく体制を組み、マンツーマンでご対応できるよう配慮致しました。

中根様

そうそう。私は主にスケジューラー部分を担当していたのですが、ソフトを作る段階では3名が私についてくださいました。どのような仕様にしたいのかを大変念入りにヒアリングしてくださり、私たちが使いやすいソフトを作り上げるために必死になってくださって…。その姿勢に感動し、とても嬉しくなりました。他のセクションの人間も同じ感想を持っていたと思います。

大 岩

ありがとうございます。
『要求の本質を捉える力』と『期限厳守』

中根様

あとは、こちらがリクエストした要件にご対応いただく際の期限についても、しっかり守っていただきました。こちらも通常業務があるなかでの対応なので、業務バランスをとるうえでも大変ありがたかったです。

大 岩

納期遵守については、創業以来、弊社の社長自ら守り通してきたことなので、全社で意識付けができているためだと思われます。

中根様

二人三脚でひとつのモノを創り上げる、いわば同士のような存在に感じられました。JCCさんとお付き合いを初めて15~16年経ちますが、当時プロジェクトの音頭をとっていた上司は、いまだに「絶対JCCさんを離さず捕まえておけよ」と言っていますよ。

大 岩

本当に何と言ってよいか…。心からありがたいです。

中根様

うちは大手企業様と違って多品種小ロット製造なので、どうしても完全なるオートメーション化はできないのですが、部分的に変えることで、今以上に改善することはできると思っています。例えば今のシステムの中で、スタートボタンを押すと同時にミキサーの羽が自動的に回る機能をつけたりとかね。「連動して動く機能」をもっと突き詰めれば、可能性は広がっていくのではないかと考えています。今後は人口もますます減っていきますし、少ない人員で効率的に、高品質の製品を作っていくことが求められるようになります。そのときも今と同様に、頼れる同士であって欲しいと願っています。

大 岩

月並みな感謝の言葉しか出てきませんが、重ねて御礼申し上げます。このように高くご評価いただき、誠にありがとうございます。今後も御社のご発展に貢献できるよう、積極的に新技術の習得に励み、改善のご提案をさせていただきます。今後とも、末永くよろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間を頂きまして、誠にありがとうございました。